「推しボードゲーム」略してOCB
いろんな人に好きなボードゲームについて聞いてみました

第4回 “イントリーゲ”


オインクゲームズ佐々木が、
唐突に好きなゲームを聞くこの企画。


今回は、2011年末、
都内某所で行われたボードゲーマー忘年会の二次会にて、
会の主催者イチ氏に聞きました。


佐々木:
イチさんは何のゲームが好きですか。


イチ:
あれですね、
「てきとうにしゃべれるゲーム」が好きですね。


佐々木:
てきとうにしゃべれるゲームっていうと
例えば「お邪魔者」とか?


イチ:
「お邪魔者」も好きなんだけど、もっとなんていうか・・


佐々木:
エセ芸」とか?


イチ:
ああ、そうですね、
「エセ芸」とか同じオインク製で「藪の中」とかもいい。
「これはアレですね〜!アレ!」とか言ってるのが好き。


佐々木:
髑髏と薔薇」とか。


イチ:
あれもいいね!
エケトープってやったことある?
あれ一時期好きでいつもゲーム会のときに持って来てたんだけど、
あれ、みんなで資源取りにいくのか敵を攻めにいくのか、
どこに行くのか配置して〜!みたいなゲームなのね。
砦を守っておかないと攻められちゃうんだけど、
「いや〜今回ノーガードだわ〜」って毎回言いながらプレイする(笑)


佐々木:
なるほど(笑)


イチ:
そんなふうに、なんていうか
「好きなことをてきとうに言ってて怒られないゲーム」が好き。
あとね、「イントリーゲ」。


佐々木:
「イントリーゲ」やったことないんだよね。


イチ:
やってないんだ!あれはね、オススメ。
なにやるゲームかって言うと、
賄賂を払ってお屋敷に就職させてもらって給料を得るゲーム。


佐々木:
裏口就職か!(笑)
その就職させてもらうところで・・


イチ:
そう、てきとうなことを言う(笑)
会話以外にほとんどやることがないんだよね。


佐々木:
おもしろそうだなー。
やってみたい。


イチ:
やります?今。


佐々木:
持ってんのかよ!
やりたいけど、まあそれはまた次の機会で・・・


イチ:
「イントリーゲ」は、賄賂を払うんだけど、
それで得られるものはとりあえず口約束なのね。
「そんじゃ高いところに就職させてやるから、
俺の学者も頼むからあそこに就職させてよ」
みたいな約束をするんだけど、
ま、それはあくまで口約束でしかないっていう。
ルールブックにちゃんと
「あとで裏切っても大丈夫です」みたいなことが書いてある(笑)


佐々木:
なるほど(笑)


イチ:
「いや〜誠意を見せてほしいっすね〜」みたいなことをね、言うわけですよ。


佐々木:
賄賂もそうだけど、話術というか、
まあいいかげんなことが言えるわけだ。


イチ:
そう!
そういういいかげんなことを言っていいルールのゲームが好き。
酔ったメンバーでやる人狼とか。


佐々木:
ちょっとブラフを織り交ぜながらやるようなゲームとかかな。


イチ:
「ブラフ」!
そう、俺「ブラフ」も大好き。


【編集注:ブラフとは「はったり」の意味だが、そのまま「ブラフ」というタイトルのゲームがある】


佐々木:
ああ、「ブラフ」おもしろいよね。
僕もかなり好きだな。
ゲームの本質よりも、ゲームを肴にした会話が好きってことになるのかな。


イチ:
そうだね、酒飲んでやるのも好きだし。


佐々木:
ゲームがあると初めて会った人とでも会話はずむよね。


イチ:
そうそう。
会話するようなゲームで、ルールがサポートしてくれると
初対面でも普通に会うより絶対しゃべれるよね。
まあ、もちろんゲームはゲームで好き。
で、ゲームを介して会話するのも好きって感じ。


佐々木:
でもイチは重いゲームというか、長時間を要するゲームも好きだよね。


イチ:
好き好き。でも俺、あれはメンバーに恵まれてる気がする。
基本的に長考する人はニガテなんだけど、
まあ真剣に勝とうとすれば長考にはやっぱなるんだけど、
いつもやってるメンバーはほどほどな感じでやってくれる。
それがけっこう重要かなあ。


佐々木:
なんだろうな、
真剣に勝ちに行くのはもちろんゲームがおもしろくなるために大事だけど
そればかりになってもよろしくないよね。


イチ:
「勝ちたい」なのか「楽しみたい」なのかで言ったら、
俺は「楽しみたい」のほうが強いんですよね。
だからできればそういう意識の場でゲームしたい。


佐々木:
長考についてはしばしば話題に上がるよね。


イチ:
こないだもちょうどその話になったんだけど、
すごく長考してる人が勝ったとしても
「まあそうだよね・・」ってなって
素直におめでとうって言いづらいというか。
もちろん全員ガチで勝ちにいくような場ならいいんだけど、
そうじゃないなら、場のみんなが楽しくなるようにしたいよね。


佐々木:
勝ちにこだわりすぎると、てきとうなこと言えなくなるしね(笑)


イチ:
そうね、てきとうなこと言いたいからね(笑)



2012年1月20日

第3回 ”サイトシーイング”


オインクゲームズの佐々木が、
唐突に好きなゲームを聞くこの企画。


今回は、ボードゲーマーの父を持つ4歳の男の子に、好きなボードゲームについて聞いてみました。だいぶユルくなってしまいましたが、子供からのナマの意見ということで。
今回思ったのは、子供は大人が思っている以上に「負けること」が嫌なのかなということ。子供にゲームを買うときには気をつけたいポイントですね。


佐々木:
お名前を聞かせてください。


ごろう:
ごろうです!


佐々木:
ごろうくんはボードゲームはやったことがありますか?


ごろう:
あります!


佐々木:
どんなボードゲームをやったことがありますか?


ごろう:
うーんと・・スティッキースティックスと、サイトシーイングと、
小さな魔法使いと・・、スティッキーと、くるりんパニックと・・・


佐々木:
いっぱいあるね。ほかにもある?


ごろう:
釣りのやつ(※カヤナック)と、ミッドナイトパーティ、ワードバスケットと、ぶたくんのやつ。


佐々木:
すすめコブタくんですね。


ごろう:
それそれ!


佐々木:
いっぱいあるね。
あと、キャッチマウスとか、テディメモリーもやったことあるね。
ごろうくんが一番好きなボードゲームはなんですか?


ごろう:
サイトシーイング

佐々木:
サイトシーイングはどういうゲームか教えてもらえますか?


ごろう:
バスにのって、世界中を旅するの。
降りるところに止まったら、「おりまーす!」って言うんだよ。


佐々木:
どんなところが好きなんですか?


ごろう:
旅行するのが楽しいから!
あと、「おりまーす」って言うのが楽しいんだ。
カードを見て、ちゃんと覚えてないとわからないんだよ。
あとね、国の名前もおぼえた。


佐々木:
国の名前もおぼえたんですね。どんな国の名前ですか?


ごろう:
ロシアと、アイスランドと、ロンドン、パリ、ドーイツ、エジプト、ギリシャ、あとあれ、モロッコ。


佐々木:
いっぱいおぼえたね!


ごろう:
でも星が出ないとやめたくなっちゃうんだ・・


【編集注:「サイトシーイング」では星の書いてある札を引くとコマを自由に進めることができる。これを引けないと勝つのはかなり難しい】


佐々木:
ゲームは負けると悔しいよね・・


ごろう:
うん・・・


佐々木:
いつも誰とボードゲームをやるんですか?


ごろう:
お父さんとか、お母さんとか、いろいろやってます。
あと、人が来たときやってます。


佐々木:
お友達ともやるの?


ごろう:
お友達はボードゲームはあんまりやってないので、あんまりやりません。
Wiiとかやります。


佐々木:
Wiiとサイトシーイングならどっちが楽しいですか?


ごろう:
どっちもです!


佐々木:
ごろうくんはすごろくやさんによく行くんだよね。


ごろう:
はい。


佐々木:
すごろくやさんでどうやってゲームを選ぶんですか?


ごろう:
そこで、やりたくなったゲームをえらぶんです。
まるたさんがおしえてくれるんです。


佐々木:
丸田さん。すごろくやさんの店長さんですね。
どんなふうにおしえてくれるんですか?


ごろう:
とってもやさしい声でおしえてくれます。


佐々木:
いいですねー


ごろう:
おうちで「すごろくやさんごっこ」をするんだ。
すごろくをいっぱいならべて、好きなのを選んでもらって、
やりたかったらごろうが説明します。


佐々木:
どんなふうに説明するの?


ごろう:
やさしい声で!


佐々木:
(笑)
サイトシーイングの他には好きなゲームはありますか?


ごろう:
スティッキースティック!


佐々木:
スティッキースティックスは、韓国のゲームメーカー、ハッピーバオバブの作品ですね。


ごろう:
なんかゲームマーケットに行きたくなっちゃった。


佐々木:
(急だな・・!)
あ、ゲームマーケットに行ったんだよね。どうでしたか?


【編集注:ゲームマーケットとは、年に2回浅草で行われているボードゲームイベント。たくさんの企業・同人ボードゲームメーカーが一同に介する。2012年3月には初の大阪開催がある】


ごろう:
楽しかったよー


佐々木:
どんなところが楽しかったですか?


ごろう:
スティッキースティックもやったの、ゲームマーケットで!


佐々木:
あーあーあー、ハッピーバオバブ、ゲームマーケットに来てましたね。


ごろう:
知らない男の子とやったんだ。


佐々木:
へー、勝てた?


ごろう:
負けちゃったんだ・・


佐々木:
(負けちゃったのか・・)
・・ごろうくんは、今度はどんなゲームをやりたいですか?


ごろう:
Wiiの「ポケパーク2」!


佐々木:
テレビゲームですね・・・(苦笑)
小さな魔法使い」はおもしろかったですか?


ごろう:
ちょっと転んじゃうところが難しい・・


佐々木:
そっかあ、じゃあ「ミッドナイトパーティ」はどう?


ごろう:
つかまるのがちょっと・・


佐々木:
でもオバケに追いかけられるの楽しくない?


ごろう:
でもつかまっちゃうとショックで・・・
なげっぱなしになっちゃう。


佐々木:
そっかぁ・・(苦笑)
またすごろくやさんで新しいゲームを遊べるといいね。


ごろう:
うん!



2012年1月7日

第2回 “パンデミック”


今回は、パンデミックというゲームの大会を主催されていたり、パンデミックというゲームのコミュニティを運営されていたり、パンデミックというゲームの解説ページを開設していたりする、パンデミックというゲームに魅せられたエンジニア、冨田尚樹さんに話を伺いました。


佐々木:
冨田さんの好きなゲームについて聞かせてもらいたいんですが、
冨田さんの好きなゲームと言えばやっぱりあれですよね。


冨田:
パンデミックですね。


佐々木:
僕もよく知ってるゲームですが、知らない方も多いと思いますんで、
まずパンデミックってどういうゲームなのか
聞かせていただいてもいいでしょうか。


冨田:
パンデミックっていうのはですね、
世界地図ベースのボード上で、ウイルスから人類を救うゲームです。
まだ誰も免疫を持っていない、
ワクチンも開発されていないウイルスがどんどん世界に広がっていく。
感染症研究所にあたるような組織のメンバーになって
世界を救うためアメリカから立ち上がるというストーリーです。


佐々木:
ワクチンのないウイルスが出るっていうのは、
現実にはどのぐらいヤバい状況なんですか?


冨田:
ワクチンのないウイルスが出るとまず感染率がやばくて、
おととし実際に起こったパンデミックでも
かなりの人が感染しました。
たまたま致死率が0.001%とかそのぐらいだったから助かったけど、
例えばスペイン風邪なんかは
世界人口の30%とかが感染して、世界大戦を含む
これまでのどんな事件より多くの人が死にました。
このゲームでは、そういう危険な状況ですね。


佐々木:
なるほど、そんな状況から世界を救うわけですね。


冨田:
そうです。
しかもですね、このゲームの世界では、
4種類のウイルスがいっぺんに発生するんですよ。


佐々木:
そうですよね、しかも世界中あちこちで。


冨田:
そう。だから、世界中を飛び回りながら
ワクチンを4種類完成させればならない。
4種類完成させるとゲームクリアになります。


佐々木:
クリア?(笑)


冨田:
そう、クリア!(笑)


佐々木:
そうなんですよね、パンデミックといえば
クリアがあるというのが特徴でもあります。
このゲームは全プレイヤーの協力プレイなんですよね。
「クリアがある」っていうのはボードゲームの中でも珍しいですよね。


冨田:
ああ、そうか、僕ボードゲームといえば
最近パンデミックばっかりやってるから気にしてなかった。
そっか、そこは普通の人には意外かもしれませんね。


佐々木:
そうですよ、普通ボードゲームって対戦ですよ。


冨田:
パンデミックは最大4人でできるんですけど、
誰かひとりが勝つとかそういうんじゃなくて、
全員でゲームのシステムに対して勝つか、負けるかです。
しかも、このゲームが人気があるのは、
ゲームの難易度が高すぎて、普通にやってると
だいたいゲームに負けるっていう(笑)
「あれっ、何かおかしいことしたかな?」
って思うぐらいさくっと負ける。


佐々木:
世界を救うキツさが味わえてしまうわけですね。


冨田:
難易度は4段階から選べるんですが、初めての人4人だと、
一番易しいのでもたぶん負ける。そのぐらい難しい。
ウイルスが、手をつけられないままどんどん増えていって、
あわあわしてるうちに負けちゃう。


佐々木:
その厳しさ、いいですよね。


冨田:
少しやってくとコツがわかってきます。
ワクチンをつくるための情報収集するのか、
現場のウイルスを沈静化させるのか、
そのバランスが分かってくる。
慣れてくるとどんどんおもしろくなりますね。
あと、プレイヤーがそれぞれ違った特技を受け持つんです。
私は他の人より早くウイルスを除去できますとか、
私は自分の番に他の人を動かせますとか、
私はワクチンを早くつくれますよとか、
それぞれの持ち味を生かしてゲームを進めていく。
連携プレーが決まるとすごく気持ちいい。


佐々木:
そもそも連携プレーしないと勝てないですよね。
そこがまたいい。


冨田:
そうやって連携プレーが決まって「よっしゃ!」と思ったところに
暗雲が立ちこめてくるというのが
またこのゲームのさらにいいところで(笑)
どっかの都市でアウトブレイクっていう、
ウイルスが突発的に広がる現象が起きたりとかする。


佐々木:
「アウトブレイク」って、
ゲームの中ではウイルスが一カ所にたまりすぎると
そのまわりの都市に飛び火する感じじゃないですか。
あれ、現実ではどういう現象を指すんですか?


冨田:
僕もパンデミックをやるまでは、
アウトブレイクとかエピデミックっていう用語は
知らなかったんですけど、
このゲームをやってからいろいろ調べてそこそこ詳しくなりました。
まず「パンデミック」っていうのは、
全世界的なウイルスの流行を指す言葉。
これは割と定義もちゃんとしてて、簡単に言うと
世界中にウイルスが広がったらパンデミックですね。
これは人類史上でもそんなにたくさんは起こってない。
たとえば20世紀最初のパンデミックはスペインかぜ。
その次がアジアかぜ、そして香港かぜ。
こないだのH1N1は4つめぐらいですね。


佐々木:
天然痘とかもそうなんですか?


冨田:
天然痘もたぶんそうですね。
あれはもっと長い期間悩まし続けたやつですけど。
で、パンデミックという状態の一歩手前に
「エピデミック」というのがあって、
これはある程度の広い地域、
たとえばひとつの国全体とかでウイルスが広まる状態。
あとこれはゲームでは出てこないですけど
「エンデミック」っていう単語もあって、
これはもうちょっと狭い範囲、
ひとつの町とかのレベルでウイルスが蔓延してるような状態ですね。


佐々木:
エンデミック!
そんなにいろんな単語があるんですね。


冨田:
で、やっとここでアウトブレイクに戻ってきますけど
「アウトブレイク」というのは、
そういう定義に基づいた単語じゃなく、
ただ「爆発的に広がったという状態」を指すので、
まあ、パンデミックもエピデミックも
「アウトブレイクした」というふうに言える。


佐々木:
なるほどなるほど。


冨田:
このゲームでは、パンデミックになっちゃったら
ゲームオーバーっていう感じですね。


佐々木:
あ、パンデミックっていうのはゲームオーバーの状態なんですね。
あれがパンデミックなんだ。
ゲーム中はパンデミックっていう単語出てこないですよね。
なるほど、なんか今いろいろ腑に落ちました(笑)


冨田:
そういうふうに説明書にはっきりと
書いてあったかどうかちょっと覚えてないけど、
ゲームオーバーの感じをみるとあれはパンデミックなんだろうなと思います。


佐々木:
世界人口の相当な割合が
ウイルスにやられちゃってる状態ですよね。
あのゲーム、ゾッとするところがありますね。


冨田:
実際に医学系の人がやってみたら、
ウイルスの広がり方がリアルすぎて、
よくできてるって言ってましたね。


佐々木:
けっこう不謹慎だと言われることもあるゲームですよね(笑)


冨田:
そうですね(笑)


佐々木:
パンデミックが発売されてから間もなくして
ちょうどH1N1ウイルスで、
WHOがパンデミック宣言をしたんですよね。
日本でも空港で「水際作戦」とかやってました。
すごいタイミングでしたよね。


冨田:
このゲームを本当に好きな人たちが
実際にパンデミックが起きたときに、
一般の人とは全然違う反応をしてたのがおもしろくて。
あの頃みんないっぱいマスク買わなきゃとか、
子供が外に出ないようにとか、
割と自分の身を守ることを考えてしまっていたと思うんですよ。
パンデミック仲間は、第三のウイルス対策チーム的な感じで、
世界地図を目の前にして、
これはやばいねと会議をしたりしてたんです(笑)


佐々木:
会議してたんですか!


冨田:
そう(笑)
我々は、まあ一般人であると。
できるのは、少しでもウイルスを広めることに自分が加担しないことだと。
そうやって、WHOの人を応援する気持ちでいました。
WHOが製薬会社と組んで
あえてパンデミックという言葉を使って
恐怖を煽っているんじゃないかと非難されたときも
すごく腹立たしく感じたり、
ウイルス対策チーム側の視点で
あの出来事を考えてしまっていたっていうのが
おもしろかったですね。
実際僕、パンデミックをやったことによって、
ウイルス対策チームの気持ちがわかったような気がしてきたんです(笑)


佐々木:
俺はその苦労、わかるぞ、と。


冨田:
実際に、あのときWHOにファンレターを書いたんです。
こういう経緯で、
自分はウイルス対策チームの気持ちが
ちょっと分かった気分でいるんですと。
この状況はとてもきびしいし、風当たりも強いと思うけれども、
体調に気をつけてがんばってください、みたいな。


佐々木:
あの頃日本のニュースでも、
WHOが感染レベルを引き上げるのかどうかとか、
やってましたもんね。


冨田:
パンデミックっていうゲームから入ったんですけど、
実際のパンデミックに関して興味が出て来て
調べまくったおかげで、割と詳しくなれました。


佐々木:
あ、そういえばなんか資格もとってましたよね。


冨田:
あ、新型インフルエンザ検定?(笑)


佐々木:
すごすぎます(笑)
新型インフルエンザって、
豚インフルエンザとも呼ばれてましたよね。


冨田:
豚って言っちゃいけないんですけどね。
豚に関係あるっていうのはそうなんですけど、
「豚インフルエンザ」って言っちゃったせいで
関係のない畜産業者が迷惑を被っちゃうじゃないですか。
あれ実際は鳥由来なわけですよ。
それが豚に感染して、それがまた変異して人間に感染しはじめた。
「豚インフルエンザ」って言っちゃったせいで、
豚さえ避ければいいんじゃないかという誤解が生じちゃう恐れがある。
欧米では割と早い段階から「新型インフルエンザ」とか
「H1N1」っていう呼称を使っていたんですよ。
日本だけは割と最後のほうまで
「豚インフルエンザ」っていう単語を使ってて、
よくないなあと思ってました。
ウイルス対策チームの観点からすると、良くないなと(笑)


佐々木:
そういえば僕もあのときマスク買いましたよ。


冨田:
僕も買いましたけどね。
でも本当に気をつけなきゃいけないのは感染しちゃった人で、
風邪っぽいなと思った人がマスクをするのが一番効果的なんですよ!
そういう話をパンデミック仲間としたりしてて。


佐々木:
咳が出るのにマスクしない民衆が
エピデミックを生んでしまうんだ!とかですね。


冨田:
WHOのウイルス対策チームがあんなにがんばってるのに、
現場がこれじゃあ・・と悲しくなりました。
実際のワクチンってそう簡単にできるもんじゃないので、
現場が一番気をつけなきゃいけないんですよ。


佐々木:
でも冨田さんはそうやって、
ものすごくウイルスについて詳しくなってるじゃないですか。
パンデミックはぜんぜん不謹慎じゃないですよね。
むしろウイルス対策に一役買ってる。


冨田:
そうなんですよ。
教育材料として使えるっていう意味でも
すごくいいんじゃないかと思います。


佐々木:
僕もそう思います。子供にもやらせたい。


冨田:
ゲームオーバーになっても
みんなちゃんとすごく悲しい気持ちになるので、
不謹慎じゃないと思います(笑)


佐々木:
救えなかった無力感でいっぱいになりますよね。
プレイ中も「あ・・東京終わった・・」とか。


冨田:
でも実際のウイルス対策の現場でも、
一都市を犠牲にしてでも
世界全体を見なきゃいけないような状況は
ぜんぜん起こりうるわけで。
そこは心を鬼にして、そういうことをしているんだと。
WHOのウイルス対策チームだって、
100人200人いるわけじゃなくて、
たかだか10人いるかいないかぐらいの数なんですよ。
やれることなんて限られてるんです。


佐々木:
超プロフェッショナル集団なんでしょうけどね。
そんな少ないんですね。


冨田:
実際にWHOでウイルス対策の指揮をとっていた人が
日本人の医師なんですよ。


佐々木:
えっ!そうなんですか。


冨田:
進藤先生っていうんですけど。


佐々木:
何歳ぐらいの人なんですか?


冨田:
40歳ぐらいの女性の医師ですね。


佐々木:
けっこう若いんですね。
や、相場を知らないですけど。


冨田:
もともと脳外科医かなんかだったんですけど、
女性であることとか、体力的な問題があって
WHOに行ったらしいんです。
進藤さんが日本に来たときの講演には僕も行きました。


佐々木:
えぇ!さすがですね・・。
どんな方なんですか?


冨田:
子供が2人いて、シングルマザーなんですけど、
NHKで密着取材のドキュメンタリーがあったんです。
H1N1のパンデミックの頃の様子も映されていて、
すごく心動かされました。
ゲームのパンデミックと
まったく同じようなことをしてるんですよ。
日本で売ってる世界地図って、
日本が真ん中じゃないですか。
パンデミックって海外で使われてる世界地図なんで
ヨーロッパが真ん中なんですよね。
ああいう地図で、
ウイルスが今このへんで感染してるっていう赤い丸が
増えていくのを見ながら
今どうすべきかっていう話をしてる。
そのときの進藤先生やその対策チームのメンバーの顔が
パンデミックやってるときの僕らといっしょで
真剣そのものでした(笑)
しかもそのチームっていうのがまた、
疫学のエキスパートであるとか、
感染を防ぐエキスパートの人であったりとか、
その役割もまさにパンデミックっぽい感じなんですよ!


佐々木:
おぉ〜・・
進藤先生は、どういう役割なんですか?


冨田:
進藤先生はリーダーですね。


佐々木:
まとめ役なんですね。ディスパッチャーだ。


冨田:
ディスパッチャー(笑)
そうですね。


【編集注:ディスパッチャーはパンデミックのゲーム内に登場する役割のひとつ。司令塔として他のプレイヤーのコマを動かすことができたりする】


佐々木:
なんか全然ゲームの話をしてた気がしませんが(笑)
パンデミックへの素晴らしい愛を感じました。
ありがとうございました。


冨田:
進藤先生宛なら日本語でもいいので
みんなファンレターを送るといいと思います!
がんばってくださいとか!



2011年12月23日

第1回 “氷山の一角なゲーム”


あるときは中野ブロードウェイのボードゲームショップ「ドロッセルマイヤーズ」の店主。あるときはボードゲームポッドキャスト「ボードゲームおっぱい」のバブル大佐。そしてあるときは「Stamps」のプロデューサー。

今回は、そんなふうにボードゲームに対して様々なアプローチで常に精力的に活動されている、渡辺範明さんのOCB。

ちなみにオインクゲームズ佐々木とは、ボードゲーム仲間でもあり、かつていっしょに仕事をしたこともある間柄です。


佐々木:
単刀直入にいっちゃいますけど、
渡辺さんの好きなゲームってどんなのがあります?


渡辺:
好きなゲーム考えたんですよ。
パンデミックかなぁ、とか。
あとファウナかな、とか。
でもなかなかひとつに絞るのは難しいですね。


【編集注:パンデミック→プレイヤー全員で協力し爆発的に広がる伝染病から世界を救うゲーム。日本語版も発売中。|ファウナ→360種類もの動物たちの生息地や体長などを予測していくゲーム。全動物カードにイラストつき】


佐々木:
ひとつじゃなくてもいいんですよ。
漠然とどんなゲームが好きかってことでもいいです。


渡辺:
ファウナは2010年のボっぱい(※ボードゲームおっぱいの略称)ゲーム大賞でもあるんですよ。
年末を振り返るという意味で、
2010年に取り上げたゲームで大賞を決めようっていう企画だったんですけど。
せーので言ってみたら、僕とマダム両方一致で、ファウナだったんですよ。


佐々木:
あー、それありましたね。


渡辺:
んで、ちょっと嬉しいことに
それの2011年版を先日録ったとき、せーので言ってみたら
また僕とマダムで一致してたんです。
それが何だったかは
配信されるボっぱいを聞いてもらえればと思うんですけど(笑)


佐々木:
えー!それちょっとオフレコで教えてくださいよ!
すごい奇跡的ですよね。


渡辺:
奇跡的ですね。
実は○○だったんです。


佐々木:
おぉ、あれか・・僕やったことないんですけど面白いですか?


渡辺:
佐々木さん絶対好きだと思いますよ。
RPG系だし。


佐々木:
お、いいですね。


渡辺:
ドロッセルマイヤーズっぽいゲームって、
よくカジュアルなアブストラクトゲームだと思われてるんですけど。


佐々木:
ああ、バックギャモンとか、トランプとかですね。


渡辺:
そうそう、でも渡辺個人がどういうゲームが好きかと言うと、
それとはまた違うところがあって。
以前、ドロマイに置いてある商品の中で、
これが売れるから置いているというのじゃなくて
店主の個人的なわがままで置いてるものってなんなの、
って聞かれたことがあったんです。
そこで「ディセントですかねー」って言って(笑)


佐々木:
(笑)


【編集注:「ディセント」はRPG風ボードゲームの傑作で、ダンジョンタイルの上で、マスター1人が繰り出すモンスターを相手に、その他のプレイヤー数人で戦う協力ゲーム。フィギュアが全部で80体も入っている。正統派ファンタジー好きにオススメの一品で、とにかく箱が大きく、1プレイ4時間以上ぐらいかかる】


渡辺:
で、ディセントって2011年のボっぱい大賞のゲームとも
ちょっと似てるじゃないですか。
じゃあRPGとかファンタジー系が好きなのっていうと、
実はそういうわけじゃない。
だってパンデミックもファウナも、それとはちょっと違うじゃないですか。


佐々木:
そうですね。


渡辺:
じゃあ何かなって考えたら、要はゲーム以外に話が広がるっていうか
外の世界に話がつながるものが好きなんですよ。
ディセントって一見オタクっぽいっていうか、マニアックな感じですけど
ゲームの中に世界が閉じてなくて、ドラクエとか、ウィザードリィとか、
RPGというものに連綿とつながる歴史があるじゃないですか。


佐々木:
指輪物語とか、古くは神話からつながるファンタジーの世界ですもんね。


渡辺:
そういう世界の、氷山の一角なわけですよ、ディセントは。
RPGに限らず、そんなふうに、
そこを入り口にしてその裏側にある膨大な世界に
つながっていくようなのが好きなんですね。


佐々木:
なるほど!


渡辺:
ファウナもいわば、動物図鑑じゃないですか。
動物っていうのは神が創りたもうた超ヤバコンテンツなわけでしょ(笑)


佐々木:
超ヤバコンテンツ(笑)


渡辺:
ファウナを通して、その超ヤバコンテンツにアクセスできる。
例えばナショナルジオグラフィックみたいなところまで
興味の対象としてネットワークが広がる。


佐々木:
たしかにそうですね。


渡辺:
ドロマイも、表面上の見た目は違うかもしれないですけど、
コンセプトはそう。
知的好奇心を満たしてくれるおもしろいものが世の中にはたくさんあって、
そういうものの一個のチャンネルとして、
ボードゲームが入り口になってほしい。
そこからどんどん奥に広がるものであってほしいんです。
だから時に、ボードゲームとしての評価が微妙でも
ドロマイ的には評価できるということが起こるんですよ。


佐々木:
考えてみれば、他に渡辺さんが好きな
ディプロマシー」とかもそうですもんね。


渡辺:
そうそう、あれも歴史のおもしろさがあるじゃないですか。
第一次世界大戦ヤベーみたいなことで(笑)


佐々木:
ディプロマシー僕も好きなんですけど、
あのゲームを知ってから、第一次世界大戦について調べちゃいましたもん。
そうするとディプロマシー自体もさらにおもしろくなるんですよね。


渡辺:
パンデミックもそうで、やっぱバックグラウンドに興味持ちますよね。


佐々木:
そうですね。


渡辺:
そもそもドイツゲームのそういうところが好きっていうのもあるんです。
俺らが普段接しているテレビ文化とかマンガ文化とは違う文脈から
いろんな題材を持って来ますよね。
ああ、フレスコ画ってこういうもんなんだ、とか、
新しい世界に開けていきそうな感じがある。


【編集注:フレスコ画をテーマにしたボードゲームで「フレスコ」というのがある】


佐々木:
わかるわかる。僕もそういう、テーマ性みたいなの好きです。
ストーンエイジ」とか「テーベの東」とかも、考古学とか歴史とかに
興味がつながったりしましたね。


渡辺:
だからディセントとかディプロマシーとか、
そんな売れるもんではないと思いますけど
店に置いておきたいんですよね。


佐々木:
守り神としてね(笑)


渡辺:
そうそう(笑)



2011年12月21日
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